2016年1月24日

むかしむかし、3頭の子牛がおりました。

一番上のお兄さん牛は毎日遊んでばかり。

ある日天の川のほとりで
水浴びをする女神に見とれ、
自慢の赤い琴を鳴らして楽しんでいました。

2番目のお兄さん牛は思いやりに満ちた子で
体の弱い末っ子の妹牛の看病をし
毎晩星の話を聞かせてあげました。

「ねぇ、兄さん、一番上のお兄さんはどこに行ったの?」
「お前のお薬を買いに行ってるよ。」

遊びに行った事は話しませんでした。

妹牛の体調が良くない夜も
一番上のお兄さん牛は天の川のほとりで琴を弾いていました。

ある晩、お兄さん牛は言いました。

「女神さま。
妹の病気を治してください。」

「ならばお前の命と引き換えだ。」

お兄さん牛はそれを受け入れ、
女神の力で星座にさせられてしまいました。

妹牛の体調は日に日によくなり、
散歩に出かけられるようになりました。

2頭の子牛の兄妹は
朝も、昼も夜も、庭に出て
一番上のお兄さん牛の帰りを待っていました。

ある夜、妹牛は言いました。

「お兄さん、今夜は星がきれいだね。」

「ほんとだね。あの赤い星はアルデバランと言うよ。」

「きれいな色ね。一番上のお兄さんのお琴と同じ色してるね」

「そうだね、今夜は特に明るいね。」

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アルデバランは牡牛座の一等星。
赤く輝く牡牛の瞳。