「この席、いいかしら。」
いつも遠くに座る人が
僕に話しかけてきた。
「今夜は人が多いわね。」
向こうの席も空いてるのにな。。。
「今は毎日
幸せに暮らしてる。
でも、時々あの頃の事を思い出す。
そんな顔してる。」
何の事?
どうしてそんなこと言うの?
「誰かに聞いて欲しいけど
その事だけは言えないんだね。
5分も経つと
すぐに忘れる術を身に付けた。
だけど記憶から消えることはない。
またいつか思い出す。
それが怖くて今夜も星を見る。
溜めてはだめだよ。
でも、吐き出してもだめ。
上手に、上手に、流して行くの。
それはとても難しい事。
でもね、2つだけ、方法がある。
ひとつはこの列車に乗って星を見る。
もうひとつは・・・
きっともうすぐ気が付くよ。
気付かないうちにそうなってるよ。
気付かない事が、
気付かずにそうなってる事が、
一番幸せなのかもね。。。」