2015年6月21日

『乗車券を拝見します。』
車掌さんが来てくれた。

昨日も切符を見たのにね。
明日も切符を見るのかな。

次の停車駅はさそり座アンタレス。
右手に土星を眺めながら走行しています。

車掌さんが座席を変更してくれた。
窓から土星が見えるんだって。

車掌さんったらね、
ぼくが泣いてる時だけやってくる。

だからきっと、僕のこと、
いつも泣いてると思ってる。

だけど何も聞かないんだ。
行き先の話しと
星が見える話だけして行ってしまう。

だけど一度だけ教えてくれた。
この星は、ひとりじゃなきゃ、見えないんだって。
みんなと一緒に見る星は
こんな風には見えないんだって。

だから一人でいる時間も大事なんだって。

一人でいることを怖がらないで。
明日が見えなくても不安にならないで。

ひとりじゃなきゃ見えない物がある。
ひとりでいなきゃ分からない事がある。

だから今しか見えないものを大事にしてほしい。

そう教えてくれたんだ。